EcoSmart Fire Magazine
Vol.4
静と動が融合した美しさを空間に
2024.10.31
煙や煤が出ず、本物の炎のゆらめきと暖かさを楽しめるバイオエタノール暖炉EcoSmart Fire。 フラッグシップモデルの『Modus(モデュース)』は、マントルピースに天然石を使い、高貴かつ重厚な存在感がある。 このオリジナリティをさらに追求した新モデルが、『Modus Premium(モデュース プレミアム)』だ。世界各地から厳選された希少な天然石を用いており、世界でたった一つしかない、オリジナリティあふれる暖炉に仕上げることができる。
この発売を記念し、現在EcoSmart Fire六本木ショールームでは、『Materials - 火と石の記憶』というポップアップ展示を開催中だ。静の石、動の炎が生み出す融合美を五感で楽しむことができる。この展示とModus Premiumのカスタムは、日本を代表する石材専門会社・関ヶ原石材が全面協力。石の専門家集団と名高い彼らの中でも、約30年という長いキャリアを持つ中西信也さんに天然石の魅力を聞いた。
瞬間に生まれる炎と、46億年の時を内包する天然石
「Materials - 火と石の記憶」の会場では、1本400キロという大理石で作られた暖炉が出迎える。石柱の間から、オレンジ色の炎が揺れる様子を見ていると、自然から生まれたもの同士が共鳴していることがわかる。炎と天然石を眺めていると、心がほぐれ、解放されていくような気分になる。
「炎は今、この瞬間に生まれています。天然石は地球が46億年の時間をかけて作られた結晶のようなもの。瞬間と悠久が融合する様子を眺めていると、人間の存在が自然に戻っていくような感覚を覚えます。この展示のように石を家具や小物として空間に配置すると、空間が引き締まる。この展示に携わり、そのことに改めて気づきました」(中西信也さん・以下「」内)
大理石の美しい模様は、地層が堆積し、そこにマグマなどの熱が加わって生み出されるという。まさに大理石は何億年も前の自然の結晶なのだ。
「会場に、『ジュライエロー』という大理石がありますが、これはその名の通り、1億4千年前のジュラ期の地層を切り出したもの。石にはアンモナイトの存在が認められ、太古の地球を身近に感じます。
他にも天然石には、4億5千万年前の海に住むオルソセラス(貝)や、6600万年前に絶滅したべレムナイト(イカ)などの存在が認められるものもあります。地球の歴史を体感できるような感覚を覚えます。悠久の時間を可視化できますので、インテリアに取り入れると、心持ちや視座が変わると思いますよ」
希少な天然石で暖炉をカスタマイズ
今回、Modus Premiumで選べる上質な石材のバリエーションは2つある。まず、『エリート』は、白大理石や黒御影、トラバーチン(ベージュ色の大理石)など、インテリアに合わせやすい7種類の高級石から選べる。
注目したいのは、ハイグレードの『プレミアム』だ。イタリアやブラジルなど世界各国から厳選した希少な天然石9種類から、好みの石種を選び、アドバイザーと相談しつつ、仕上げていくのだ。今回の展示にもモデルが置かれ、会場では高貴で落ち着いた佇まいを実際に見ることができる。
「天然石はひとつとして、同じ模様がありません。それに、自然の産物なのでちょっとした“くせ”がある。このプレミアムシリーズはいわば、天然石を使用したカスタマイズ暖炉。究極の“1点もの”なのです。 会場には、ブラジル産の希少な天然石『Patagonia Violet(パタゴニアヴィヨレ)』を使ったモデルを展示していますが、パープルの部分とベージュの部分の柄が融合する部分を切り取りました。また、切断面の角部分をカットしシャープでありながらも柔らかく仕上げているので、ご自宅に置いても違和感が少ないでしょう。これは石の専門家である私たちだから実現できることかもしれません」
ハイブランドの旗艦店で使われる石も
ゆらめくオレンジ色の炎が映えるマットな火室に、重厚感と透明感がある天然石のマントルピース。陰陽の融合を表現したかのようなPatagonia Violetの暖炉を見ていると、大理石の大胆な流線が、炎の動きと呼応していることがわかる。
「縦に上がる炎と、横に流れる大理石の模様を意識し、最も美しいと確信した部分で柄を取りました。天然石は圧倒的に美しく、命が長い素材です。私はイタリア駐在時に、コロッセオ(80年完成)や1386年から着工し完成までに500年を要したドゥオーモほか多くの石造りの建築物に触れ、石は100年以上の単位で考えながら扱う素材だと感じました。 バイオエタノール暖炉EcoSmart Fireは、手軽に炎を楽しめることもあり、暮らしの中に溶け込みやすい。その天然石を使用したモデルは、きっと次の世代の方にも使われるでしょう。そのことも意識しつつ仕上げていきました」
このPatagonia Violetのほかに、森林を思わせるグリーンが特徴の『Amazonite(アマゾニーテ)』、鮮やかでふくよかな黒の上に、白とオレンジの線が交差する『Sahara noir (サハラノワール)』、虹を思わせる発色の『Onice rainbow(オニチェレインボー)』、熟成を重ねたワインのような深紅に魅了される『Rouge antique(ルージュアンティーク)』、自然界では生まれにくいとされる青に魅了される『Lapis blue(ラピスブルー)』ほか、全9種類の天然石から選べる。
「9種の中には、ハイブランドの旗艦店に使われている石や、ベルサイユ宮殿、ほか国内外の歴史的建造物に使用されている石もあります。私たちには、長年に実績を積み上げてきた経験と、磨き続ける審美眼がありますので、多くのリクエストにお応えします」
「地球というアーティストが生み出した芸術品です」
また、天然石は文字通り、一期一会なのだという。
「模様も色もそうですが、天然石はある日突然、採掘できなくなるということも起こります。人気の『ピアノフォルテ』というフランス産の大理石は、100年ほど採掘できなかった時期がありました。 この他にも、天然石の採掘には、人手が足りない、政情不安で採掘が止まる、経済制裁で輸出ができないなど、多くの要因が絡んでいます。 石について知るにつれ、海外で買い付けるたびに、地球というアーティストが生み出した芸術品に出会えた奇跡に感謝しています」
中西さんはじめ関ヶ原石材が買い付けた貴重な大理石は、コンテナ船で海を渡り、陸路で加工場に持ち込まれる。その後、最新の加工技術で加工され、建材などに使われる。関ヶ原石材の石が使われているのは、東京都庁や帝国ホテルのほかに、虎ノ門ヒルズ、角川武蔵野ミュージアム、東京ミッドタウン日比谷など枚挙にいとまがない。
「天然石には、空間の雰囲気をグレードアップし、引き締める力があります。悠久の時を重ねた天然素材だからこそ生まれる温かみを、Modus Premiumでは炎の熱とともに感じることができます。重厚感や気品だけでなく、包容力がある。そんな石の意外な表情に初めて気づきました」
天然石の専門家にインスピレーションをもたらしたModus Premiumを、ぜひ会場で体験してみてはいかがだろうか。他にも会場には、ジュエリーボックスのように天然石を配置している。あなたの魂と共鳴する、地球が生み出した芸術品に出会えるかもしれない。
Materials - 火と石の記憶
期間:2024年10月17日(木)- 11月19日(火)11:00 - 19:00
※水曜定休 ご予約不要
場所 : EcoSmart Fire 六本木ショールーム
住所:〒107-0052 東京都港区赤坂9-6-23 赤坂葵ビル1F
Product
インタビュアー
前川亜紀
撮影
森崎健一
石種アドバイザー
中西信也
石種アドバイザー
中西信也